インバータ・モータ容量の計算方法は? インバータを選定する前に、モータの各種仕様および負荷側仕様をご準備ください。 A:コンベアの選定例(ご参考): [各記号の説明と選定例に使用する数値] コンベアの所要動力は、力(外力または負荷トルク)および速度(コンベア速度またはドラム回転数,ドラム径)より求まります。 仮に以下の条件を元に、モータを選定します。 ■外力の計算:Ww(荷物)=500kg,μ(摩擦係数)=0.2 F=0.2*500*9.8=980 [N] ■負荷トルクの計算:D1(ドラム直径)=0.3m TL=980*0.3/2=147 [N・m] ■コンベア軸必要回転数の計算:V(コンベア速度)=15m/min N1=15/(3.14*0.3)=15.9 [min-1] ■減速比の計算:NM(モータの同期回転数)=1800min-1 N1/NM=15.9/1800=1/120 ■所要kWの計算:機械効率=0.8 PM=980*15/1000/60/0.8=0.3 [kW] 以上より、0.4kW-4極-60Hz,減速比1/120のモータを選定します。
B:インバータの選定例: [各記号の説明と選定例に使用する数値] 1.慣性モーメントの計算 ■ワーク(荷物) JW=Ww×V2/(4π×N12) [kg・m2] =500*15^2/(4*3.14*1800^2)=0.002765 ■ベルトコンベア Jb=Wb×V2/(4π×N12) [kg・m2] =20*15^2/(4*3.14*1800^2)=0.000111 ■ドラム J1=W1×D12/8 [kg・m2] =10*0.3^2/8=0.1125 ■スプロケット J2=W2×D22/8 [kg・m2] =10*0.15^2/8=0.028125 ■減速ギアのJ=JG =0.05 ■モータ軸換算負荷慣性モーメント J=(JW+Jb+J1×2+J2)×(N1/NM)+JG [kg・m2] =(0.002765+0.000111+0.1125*2+0.028125)*(1/120)+0.05=0.052
2:モータおよび負荷の仕様 計算に必要なデータを、下表に示します。 (モータ仕様は、モータメーカから入手してください。)
2:インバータの仮選定 モータ定格電流(2A)×1.05=2.1A < 3.3A(VFS15-2004PMの定格電流) より、3相200V-0.4kWのVFS15-2004PMを仮選定します。 3:必要加速時間・減速時間の算出 以上の条件を元に必要加速時間・減速時間を算出します。 加速時間=(0.00119+0.052)*1800/(9.56*(1.5*2.25-1.225)) = 4.7 [sec] 減速時間=(0.00119+0.052)*1800/(9.56*(0.2*2.25+1.225)) = 6.0 [sec] 上記以上の加減速時間を設定すれば、VFS15-2004PMを適用可能です。 □減速時間を短くする場合、制動抵抗器を使用すると、次のようになります。 減速時間=(0.00119+0.052)*1800/(9.56*(0.8*2.25+1.225)) = 3.3 [sec] □加速時間を短くする場合、VFS15-2007PMを適用すると、次のようになります。 加速時間=(0.00119+0.052)*1800/(9.56*(3.0*2.25-1.225)) = 1.9 [sec] 減速時間=(0.00119+0.052)*1800/(9.56*(0.2*0.75/0.4*2.25+1.225)) = 4.9 [sec] 減速時間(制動抵抗あり) =(0.00119+0.052)*1800/(9.56*(0.8*0.75/0.4*2.25+1.225)) = 2.2 [sec] 3.0(300%):モータ最大トルク(東芝産業機器システム製 全閉外扇形 200V-60Hz-4Pの場合) 0.75/0.4:回生許容率(概算) *さらに加速時間を短くする場合には、モータ0.75kW,インバータ1.5kWが必要です。
4:各トルクの確認 VFS15-2004PMおよび制動抵抗器を使用して、加速時間5秒,減速時間4秒とした場合の、各トルクは以下のようになります。 [運転サイクル例] t1区間:始動~高速時の必要加速トルク =(0.00119+0.052)*1800/(9.56*5)+0.8*1.225=2.98 [N・m] t2区間:高速時連続負荷トルク =1.225 [N・m] t3区間:高速~低速時の必要減速トルク =(0.00119+0.052)*(1800-1800*30/60)/(9.56*4*30/60)-0.8*1.225=1.52 [N・m] 1800*30/60:30Hz時回転数,5*30/60:60Hzから30Hzまでの減速時間 t4区間:低速時連続負荷トルク =1.225 [N・m] t5区間:低速~停止時の必要減速トルク =(0.00119+0.052)*(1800*30/60-0)/(9.56*4*30/60)-0.8*1.225=1.52 [N・m] t6区間:停止時 =0 [N・m]
5:熱容量の確認 頻繁に運転停止を行う場合、熱容量を考慮する必要があります。 この熱容量を検討するために、「熱容量を考慮した二乗平均トルク<モータ定格トルク」となることを確認します。
t2,4,6区間をそれぞれ30秒とすると、 二乗平均トルク=1.41 [N・m]<モータ定格トルク となります。
6:制動抵抗器の選定 制動抵抗器容量は、回生電力および運転サイクルから計算します。 ■回生電力 高速⇒低速時:PB1=1.52*(1800+1800*30/60)/9555/2=0.214 [kW] 低速⇒停止時:PB2=1.52*(1800*30/60+0)/9555/2=0.072 [kW] ■平均回生電力 全サイクル平均:PBave1=(0.214+0.072)*4/(5+30+2+30+2+30)=0.0116 [kW] 回生区間の平均:PBave2=(PB1*t3+PB2*t5)/(t3+t5)=(0.214*2+0.072*2)/(2+2)=0.143 [kW] ■制動抵抗器-容量 PR1 > PB1=0.214/5=0.0428 [kW] ・・・瞬時回生に必要な抵抗容量 PR1 > PB2=0.072/5=0.0144 [kW] ・・・瞬時回生に必要な抵抗容量 PR1 > PBave1=0.0116 [kW] ・・・全サイクル平均に必要な抵抗容量 PR2 > PBave2=0.143 [kW] ・・・必要連続許容容量 ■制動抵抗器-抵抗値 R < (Vdc)^2/(0.105*TB*(N1-N2))/1.2=(360)^2/(0.105*1.52*(1800))/1.2=376 [Ω] よって、PBR-2007(120W-200Ω:標準オプション)を選定します。
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