インバータ・モータ容量の計算方法は? インバータを選定する前に、モータの各種仕様および負荷側仕様をご準備ください。 A:コンベアの選定例(ご参考): [各記号の説明と選定例に使用する数値] コンベアの所要動力は、力(外力または負荷トルク)および速度(コンベア速度またはドラム回転数,ドラム径)より求まります。 仮に以下の条件を元に、モータを選定します。 ■外力の計算:Ww(荷物)=100kg,μ(摩擦係数)=0.2 F=0.2*100*9.8=196 [N] ■負荷トルクの計算:D1(ドラム直径)=0.1m TL=196*0.1/2=9.8 [N・m] ■コンベア軸必要回転数の計算:V(コンベア速度)=50m/min N1=50/(3.14*0.1)=159.2 [min-1] ■減速比の計算:NM(モータの同期回転数)=1800min-1 N1/NM=159.2/1800=1/10 ■所要kWの計算:機械効率=0.8 PM=196*50/1000/60/0.8=0.204 [kW] 以上より、0.4kW-4極-60Hz,減速比1/10のモータを選定します。
B:インバータの選定例: [各記号の説明と選定例に使用する数値] 1.慣性モーメントの計算 ■ワーク(荷物) JW=Ww×V2/(4π×N12) [kgf・m2] =100*50^2/(4*3.14*1800^2)=0.006143 ■ベルトコンベア Jb=Wb×V2/(4π×N12) [kgf・m2] =20*50^2/(4*3.14*1800^2)=0.001229 ■ドラム J1=W1×D12/8 [kgf・m2] =5*0.1^2/8=0.00625 ■スプロケット J2=W2×D22/8 [kgf・m2] =5*0.1^2/8=0.00625 ■減速ギアのJ=JG =0.05 ■モータ軸換算負荷慣性モーメント J=(JW+Jb+J1×2+J2)×(N1/NM)+JG [kgf・m2] =(0.006143+0.001229+0.00625*2+0.00625)*(1/10)+0.05=0.052612
2:モータおよび負荷の仕様 計算に必要なデータを、下表に示します。 (モータ仕様は、モータメーカから入手してください。)
2:インバータの仮選定 モータ定格電流(2A)×1.05=2.1A < 2.4A(VFNC3-2004Pの定格電流) より、3相200V-0.4kWのVFNC3-2004Pを仮選定します。 3:必要加速時間・減速時間の算出 以上の条件を元に必要加速時間・減速時間を算出します。 加速時間=(0.00119+0.053)*1800/(9.56*(1.5*2.25-0.98)) = 4.3 [sec] 減速時間=(0.00119+0.053)*1800/(9.56*(0.2*2.25+0.98)) = 7.2 [sec] 上記以上の加減速時間を設定すれば、VFNC3-2004Pを適用可能です。 □減速時間を短くする場合、VFS15-2004PMおよび制動抵抗器を使用すると、次のようになります。 減速時間=(0.00119+0.053)*1800/(9.56*(0.8*2.25+0.98)) = 3.7 [sec]
4:各トルクの確認 VFNC3-2004Pを使用して、加速時間5秒,減速時間8秒とした場合の、各トルクは以下のようになります。 [運転サイクル例] t1区間:始動~高速時の必要加速トルク =(0.00119+0.053)*1800/(9.56*5)+0.8*0.98=2.82 [N・m] t2区間:高速時連続負荷トルク =0.98 [N・m] t3区間:高速~低速時の必要減速トルク =(0.00119+0.053)*(1800-1800*30/60)/(9.56*8*30/60)-0.8*0.98=0.49 [N・m] 1800*30/60:30Hz時回転数,8*30/60:60Hzから30Hzまでの減速時間 t4区間:低速時連続負荷トルク =0.98 [N・m] t5区間:低速~停止時の必要減速トルク =(0.00119+0.053)*(1800*30/60-0)/(9.56*8*30/60)-0.8*0.98=0.49 [N・m] t6区間:停止時 =0 [N・m]
5:熱容量の確認 頻繁に運転停止を行う場合、熱容量を考慮する必要があります。 この熱容量を検討するために、「熱容量を考慮した二乗平均トルク<モータ定格トルク」となることを確認します。
t2,4,6区間をそれぞれ30秒とすると、 二乗平均トルク=1.01 [N・m]<モータ定格トルク となります。
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