Toshiba 東芝シュネデール・インバータ株式会社

乾燥機 [農業機械]



 インバータ・モータ容量の計算方法は?

インバータを選定する前に、モータの各種仕様および負荷側仕様をご準備ください。


 A:バケットコンベア(昇降機)の選定例(ご参考):
[各記号の説明と選定例に使用する数値]

昇降機の動力計算は、以下のように行います。


所要kWの計算:機械効率=0.8
PM=50*25/(6120*0.8)*1.2=0.306 [kW]
Wは、バケット5個分の負荷質量



昇降機選定の各種公式:


負荷トルク(モータ軸換算)の計算
□力行時負荷トルク:
TL1=0.01*9.8*200*25/(2*3.14*1800*0.8)+9.8*50*25/(2*3.14*1800*0.8)=1.409[N・m]
□回生時負荷トルク:
TL2=9.8*50*25/(2*3.14*1800*1)=1.084[N・m]

昇降機選定の各種公式:


減速比の計算
□力行時負荷トルク:
1/R=25/(2*3.14*0.2*(1800*4/120))=1/3

昇降機選定の各種公式:



以上より、200V-0.4kW-4極(減速比1:3)のギアモータを選定します。


 B:インバータの選定例:  [各記号の説明と選定例に使用する数値]

 1.慣性モーメントの計算
■コンベア+バケット
JC=(50+10*10)*(25/(2*3.14*1800))^2=0.000734 [kg・m2]
■負荷
JL=(10*5)*(25/(2*3.14*1800))^2=0.000245 [kg・m2]
■ロール(2個分)
Jr=2*10*0.2^2/8=0.1 [kg・m2]
■減速ギアのJ
JG=0.05 [kg・m2]

モータ軸換算負荷慣性モーメント
J=(JC+JL+Jr)/R=(0.000734+0.000245+0.1+0.05)/3=0.0503 [kg・m2]

慣性モーメントの計算:
■直線運動
J=W×V/(4π×N) [kg・m2]
■円柱
J=W×D/8 [kg・m2]

 2:モータおよび負荷の仕様
計算に必要なデータを、下表に示します。
(モータ仕様は、モータメーカから入手してください。)
運転条件
加減速時間の指定 なし
高速側運転周波数 60 [Hz]
低速側運転周波数 30 [Hz]
電源電圧 3相-200V
モータ仕様
モータ容量 0.4 [kW]
定格電圧 200 [V]
定格電流 2 [A]
定格回転数 1700 [min-1]
定格トルク 2.25 [N・m]
モータ軸慣性モーメント 0.00119 [kg・m2]
モータ軸換算負荷慣性モーメント 0.0503 [kg・m2]

 2:インバータの仮選定
モータ定格電流(2A)×1.05=2.1A < 3.3A(VFS15-2004PMの定格電流)
より、3相200V-0.4kWのVFS15-2004PMを仮選定します。

 3:必要加速時間・減速時間の算出
以上の条件を元に必要加速時間・減速時間を算出します。

必要加速・減速時間

加速時間=(0.00119+0.0503)*1800/(9.56*(1.5*2.25-0.470)) = 3.34 [sec]
減速時間=(0.00119+0.0503)*1800/(9.56*(0.2*2.25+0.361)) = 12.0 [sec]

上記以上の加減速時間を設定すれば、VFS15-2004PMを適用可能です。

□減速時間を短くする場合、制動抵抗器を使用すると、次のようになります。
減速時間=(0.00119+0.0503)*1800/(9.56*(0.8*2.25+0.98)) = 3.49 [sec]


加速時間を短くするためには、モータ・インバータ容量のアップが必要です。
減速時間を短くするためには、制動抵抗器オプションまたはインバータの容量アップが必要です。

注意:VF-nC3では、制動抵抗器を使用することができません。VF-S15をご使用ください。


 4:各トルクの確認
VFS15-2004PMおよび制動抵抗器を使用して、加速時間4秒,減速時間4秒とした場合の、各トルクは以下のようになります。

[運転サイクル例]


t1区間:始動~高速時の必要加速トルク
=(0.00119+0.0503)*1800/(9.56*4)+0.8*0.470=2.80 [N・m]
t2区間:高速時連続負荷トルク
=0.470 [N・m]
t3区間:高速~低速時の必要減速トルク
=(0.00119+0.0503)*(1800-1800*30/60)/(9.56*4*30/60)-0.8*0.361=2.13 [N・m]
1800*30/60:30Hz時回転数,4*30/60:60Hzから30Hzまでの減速時間
t4区間:低速時連続負荷トルク
=0.470 [N・m]
t5区間:低速~停止時の必要減速トルク
=(0.00119+0.0503)*(1800*30/60-0)/(9.56*4*30/60)-0.8*0.361=2.13 [N・m]
t6区間:停止時
=0 [N・m]

必要加速・減速トルク

必要加速トルク < モータ定格トルク×α
必要減速トルク < モータ定格トルク×β
となる必要があります。
α:V/f制御時:1.2~1.5,ベクトル制御時:1.5~2.0
β:制動抵抗器を使用しない場合:0.1~0.3
標準オプションの制動抵抗器を使用する場合:0.8
最小許容抵抗値の制動抵抗器を使用する場合:1.0~1.5
通常、
α:V/f制御時:1.2,ベクトル制御時:1.5
β:制動抵抗器を使用しない場合(0.1~3.7kW):0.2
制動抵抗器を使用しない場合(5.5~55kW):0.15
制動抵抗器を使用しない場合(75kW~):0.1
標準オプションの制動抵抗器を使用する場合:0.8
最小許容抵抗値の制動抵抗器を使用する場合:1.0
としてください。


 5:熱容量の確認
頻繁に運転停止を行う場合、熱容量を考慮する必要があります。
この熱容量を検討するために、「熱容量を考慮した二乗平均トルク<モータ定格トルク」となることを確認します。
計算に必要なデータ
加速・減速時 0.7
停止時 0.3
30Hz運転時 0.9
各データは、モータメーカより入手してください。

t2,4,6区間をそれぞれ30秒とすると、
二乗平均トルク=0.94 [N・m]<モータ定格トルク
となります。


熱容量を考慮した二乗平均トルク<モータ定格トルク


 6:制動抵抗器の選定
制動抵抗器容量は、回生電力および運転サイクルから計算します。

■回生電力
高速⇒低速時:PB1=2.13*(1800+1800*30/60)/9555/2=0.301 [kW]
低速⇒停止時:PB2=2.13*(1800*30/60+0)/9555/2=0.100 [kW]

■平均回生電力
全サイクル平均:PBave1=(0.301+0.100)*4/(4+30+2+30+2+30)=0.0164 [kW]
回生区間の平均:PBave2=(PB1*t3+PB2*t5)/(t3+t5)=(0.301*2+0.100*2)/(2+2)=0.201 [kW]

■制動抵抗器-容量
PR1 > PB1=0.301/5=0.06 [kW] ・・・瞬時回生に必要な抵抗容量
PR1 > PB2=0.1/5=0.02 [kW] ・・・瞬時回生に必要な抵抗容量
PR1 > PBave1=0.0164 [kW] ・・・全サイクル平均に必要な抵抗容量
PR2 > PBave2=0.201 [kW] ・・・必要連続許容容量

■制動抵抗器-抵抗値
R < (Vdc)^2/(0.105*TB*(N1-N2))/1.2=(360)^2/(0.105*2.13*(1800))/1.2=268.3 [Ω]

5秒以上の連続回生状態が発生しないため、瞬時回生のみを考慮し、PBR-2007(120W-200Ω:標準オプション)を選定します。




制動抵抗器容量の判定:

・定格容量(PR1)
PR1 > (回生区間別)回生電力 PB1/5,PB2/5
PR1 > (全サイクル)平均回生電力 PBave1

・連続許容容量(PR2)
PR2 > (全回生区間)平均回生電力 PBave2




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